昭和レトロな製図用シャープペンシル / ぺんてる グラフペンシル PG5
突然ですが、シャープペンシルを紹介します。
ぺんてる グラフペンシル PG5
ぺんてるが1972年から現在まで販売している製図用シャープペンシルです。
価格は800円(税抜)。
現在では店舗ではほとんど見かけず、Amazonなどで販売されています。
先端とノック部がシャープになっていくデザインが特徴的で、高度表示窓の黄色とボディの黒、そして後端の銀色のパーツが昭和レトロな雰囲気を醸し出します。
またこの時代特有のイタリック表示の「0.5」の文字もとてもおしゃれです。
このどことなく「プロが使う道具感」がいいですよね。
先金とクリップはPentel P200シリーズと同じものが採用されています。
こちらのP200は0.5ミリなのでP205という名称です。
P200は1970年発売なのでこの頃のシャープペンにはこれらの部品が採用されていたのでしょうか。
この時代はCADがなく製図用のペンが現役で活躍していたようですが、今ではそういった用途で使われることはなく、最近ではYouTubeなどで紹介されることも多いため「レトロでかっこいいシャーペン」ということで購入する人が多いのではないでしょうか。
分解
分解可能なところまで全て分解してみました。
今時ここまで分解できるペンは珍しいです。
芯の補充方法
このシャープペンは芯の補充方法が面白いです。
後端の金属の部品を回して外さないと芯が補充できないようになっています。
一手間かけないと芯を補充できないということではありますが、効率ばかり求めるのではなく、逆にこういったアナログな構造がいいなと思う瞬間もあります。
そもそもシャープペンを使っている人は過度に効率を重視していないとは思いますが(笑)
ノックパーツの後ろには大きなクリーナーピンがついています。
最近では学校で危険が少ないように、クリーナーピンがついているシャープペンは少なくなりましたが、このシャープペンはまだついています。
何かとついていると便利なんですよね。
芯タンク
価格が800円の理由は、芯タンクが金属製というところにあると思っています。
最近のシャープペンの芯タンクはほとんどプラスチック製です。
PG-METAL350の芯タンクと比較してみます。
「PG-METAL350」はぺんてるの製図用シャープで2021年5月25日に発売された最新の製図用シャープです。(2023年時点)
プラスチックの新タンクでもほとんど問題はありませんが、耐久性で言うとやはりプラスチックは経年劣化が激しい樹脂ですから、本物のプロ用の道具であったグラフペンシルには金属製の芯タンクが採用されたのでしょう。
チャック
チャックは、芯を挟んで固定する部品のことです。
金属製とプラスチック製が存在します。
グラフペンシルは金属製です。
金属製チャックは芯をしっかりホールドでき、劣化しずらく壊れにくいという特徴があります。
プラスチック製のチャックは安価であるという特徴と、経年劣化に弱く、芯が引っ込みやすいという欠点があります。
芯タンク、チャック共に金属性ということもあってかAmazonの評価では「グラフペンシルは全然壊れない」と書いている評価が見られました。
余談ですが、中学の頃に一度だけシャープペンを壊してしまったことがありましたが、そのシャープペンのチャックがプラスチック製でした。
特殊なチャック
また、グラフペンシルに搭載されているチャックは、チャックのみで開閉することができるようになっています。一般的なチャックは先金とセットで開閉する仕組みです。
有名なPentel グラフ1000などのチャックも、芯を送り出す正確性を高めるためにチャックのみで開閉できる構造になっています。これは先金が緩んでしまった時に、送り出す芯の量を一定に保つための工夫なんだそうです。
先金を外した時にノックをして、カチカチ音がしてチャックが開閉していれば特殊なチャックです。お手元のシャープペンで試してみてください。
チャックは昭和で完成されていた
そして先ほど紹介した最新の製図用シャープ PG-METAL350に搭載されているチャックは、グラフペンシルと同じものなんです。(それ以外にも同じものはたくさん存在します)
製造年月の関係でチャックの大きさとネジの溝の長さが違いますが、構造は同じだと思われます。そのため、先金を交換して遊んだりもできます(笑)
グラフペンシル発売当時からほとんど構造が変わっていないと思うと感慨深いですね。
PG-METAL350は350円(税抜)でこのクオリティと考えるとコスパが高いように思います。ただ高度表示窓をつけて欲しかったのと、「グラフ」の名前を継いでほしかったように思います。
使用感
筆記した感じは、私が左利きというのがあって正確にはお伝えできないと思いますが、少しかっちりしつつも普通に書きやすい、といった印象です。しかし、使えば使うほどこのペンが馴染むような魅力がある気がします。
ノック感についてですが、程よいけどしっかりしている押し心地がとても好みです。
音もカチカチとメカニカルな音が気持ち良いです。
クリップ
そしてこのペンはクリップを簡単に取り付け、取り外しできます。
後端がシャープになっている形状は、クリップを取り付けやすくするためだったのだ、とここで気がつきます。本当に美しいデザインです。
クリップを取った時、重心バランスと形状が変化し、鉛筆のようなもっと手に馴染む使用感になります。これがとてもいいのです。
まとめ
私がこのペンを購入したのは高校生の頃(8年前)なのですが、その時はとてもレトロでかっこいいなという印象でした。しかし今になってもう一度本当にかっこいいなと思うようになりました。
そのせいで今になって廃番になってしまった全芯径を集める羽目に、、、
たぶん、今になってグラフペンシルの魔力に取り憑かれたのだと思います。
(高度表示窓の絶妙なカラーリング、芯径ごとの微妙な仕様の違いが収集欲を刺激する)
昭和のシャープペンシルは今にはない、シンプルさと機能美があります。
お手元にぜひグラフペンシルを一本購入してみてはいかがでしょうか。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。